アリスの教母さま
彼女はただ、ほんのすこしのあいだでも、姉さんたちの心を郵便屋さんが持ってきた恐ろしい知らせから離れさせ、自分の夢がなにかを約束してくれているようにみえたかを教えててあげたいと思っただけでした。
ところがだめだったのです。それは彼女だけのひとり合点に過ぎませんでした。
彼女が姉さんたちに心の奥底からでてきたようなことをなにかいおうとすると、それはいつでもへまなことになってしまうのでした。
まるでむきだしの石の壁にぶつかった雀の鳴き声の木魂のように、それは小さく無意味に響きました。
すこし恐いところのある童話っぽい話。
オチが気になって読み進めるのだがオチはない。けど、オチなしが気にならない。
子供の無邪気さと残酷さが上手く表現されている気がする。でも、ハートウオーミングにならない。
詩人が書いたというのがうなずける。世界との関係が敏感で、自分がいかに鈍感になっているのかしみじみした。
アリスの教母さま ウォルター・デ・ラ・メア 牧神社 1976