危機の日本人

日本はアメリカを凌駕してはならない。それは日本の発展の前提である国際秩序をみずからの手で崩壊させることになるからだ。日本が選ぶべき道は何か? (帯より)

ああっ、帯と対応する中身が最後の最後。帯のほうがわくわくする。

ニューズウィーク創刊号から日本人のイメージランキングを借用したり、そのほかいろいろ戦国時代の難しい本から外から見られた日本人像を形作る。

戦国時代からの引用でも、内容は、20年前の非常識は、今の常識風味でちょっと退屈。

先見があるけど、今よんでも面白いのは後半5分の一。

日本人を褒められているのが多いから山本が右翼だといわれたのも分かる。

では日本はアメリカの軍事力を肩代わりする気があるのか。

全然ないし、第一それは不可能であり、そんなことをすれば経済的に破綻して、元も子もなくなってしまう。

もちろん右翼っぽくない文章もありますが。

この本の背景はバブル期でして、黒字の解消法として

だがな。どの国にも新しい神、儒、仏はあるのだ、これは抽象的な価値だから、いくら投資しても再生産はないから、すぐに黒字になる心配はない。

何か上手いことがあったら、こりゃ、こりゃ、御利益があると思っていたら、それでよいではないか

再生産しないものに投資する。

宗教は地雷でしょと思うが、ちゃんと宗教のような再生産性のないものとして科学開発費(新規の分野の成功率は0.6%←本当か)、発展途上国の紐なし援助をあげている。

抽象的なものを99.9%無駄だと知りつつ買うのは、それで世の儲けすぎという非難を消して信心深いという評判を得るためよ

(引用の口調が変なのは、劇中の人物のセリフだから)

実際にした再生産しないことは、すでに価値のある美術品買いあさりだったりする(かも)。

私はその頃幼かったので本当のところは知らないが、それにしても、ありえたかもしれない未来を思うって虚しい。

危機の日本人 山本七平 角川ONEテーマ21 2006