人の5倍売る技術
山形弁でしゃべりワゴンを後ろ向きに動かす新幹線の販売員の話である。
後ろ向きに動かすだけじゃなくて、こまやかな心遣いが三段ぐらい人とは違うことが分かった。
ワゴンを足にぶつけた時は、私物の湿布を渡すのだが、渡すだけではなく、足のどのあたりがどれほど痛いか、全部教えてもらって、「それでは、大きさはこのくらいで大丈夫ですか?」と、お客様の痛む場所に合わせて湿布を切って渡す。
もちろん余ったほうも切り分けて、「こちらもぜひお持ちください」と渡す。
ここまで丁寧な対応をしてもらったら、怒ったらいかん気がしてくるわな。
紙コップを20個くださいと言われて、コップを10個しか持っていなかったときは、できない理由をきちんと話し、「カップは5個しかありませんがその代わり氷はたくさんありますのでお分けすることができます。
氷があれば、カップを順番に使うにしても、冷たく飲むことができます」と代わりにできることを伝える。
イベントを仕掛ける。
「今日はポテトチップスが124円でーす」
コンビニエンスストアなので、もちろんこのポテトチップスはもともと124円。(略)
お客様が「え?このポテトチップスは、いつもそれぐらいの価格じゃなかったっけ?」と驚いてこちらを向けば大成功。
そこから会話を広げていくことができます。
俺の仕事もなかなか予算の都合がつけられないので、こうやって、人を引き付けることもできるのか。
真面目な仕事なので、使いどころは難しいが、人なれしたら使ってみたいかも。
でもって、具体的に食べるシーンを伝える。
「ご利用ください」は「いかかですか」といった言葉は使わず
「本日のサラダ、産地直送で届いていまーす」
「○種類の野菜が摂れるサラダ、新鮮出来たてですよ」とただ商品のおすすめポイントを伝える。
おれっち、売り子もすることもあるのだが、次からはこうすればいいのか的開眼があったし、
少し言葉を足りなくすると、会話のキャッチボールがすすみやすくなる、ということも使いどころがありそうだ。
コンサル業務に戻った時の武器がいくつも手に入って、読みごたえがあった。
こういった現場たたき上げ系統の話も読まないとだめだなーと思った次第です。
- 作者: 茂木久美子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/21
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