日本の難点

ことほどさように、本土で激烈な地上戦を戦う時点で、すでに戦争は負けです。この時点から戦況を挽回することは不可能なのです。

なのに、なぜ日本は負け戦の地上戦に備える必要があるのか。答え。専守防衛を掲げているからです。

なぜ専守防衛を掲げるか。交戦権を禁じる憲法九条があるからです。

私は政治の話が苦手だ。話が大きすぎて輪郭がつかめない。

家族・友達・同僚とも床屋政談をしたことがなく、どこが変わったら今と違ってどういう状況になるのかシュミレーションができないからだ。

かといって、マスコミに頼る、書籍に頼るというのも情報が偏っているのが明らか、または手持ちの情報のなさで人の言うことを鵜呑みにするしかなく、落ち着かないので、政治の話は苦手だ。

この本は面白かったが、難癖をつけるとすれば、分かりやすすぎるってこと。現実は灰色で、絶対どこかにごまかしがあると思うのだが、どこか分からない。

つまみ食いするだけなら危険だが、ここから政治のことを勉強していくのはいいかも。

もっと登場人物が多く、索引が充実していたら、ここからスタートができたのに残念です。

そして、私が宮台真司を必ず押さえておかなければいけないと思うのは「因果理解の恣意性」を踏まえ、脱構築の説明をするがその先を知りたいからである。

蛇の誘惑で「知恵の実」を食べてしまって以降、人はあたかも神のように善悪の区別をするようになります。でも人のなす区別は、神のなす区別と違い、必ず間違います。

にもかかわらず人は、区別なくして生きられません。それが原罪です。(中略)

構築あるいは人のなす区別は、必ず間違っているのに回避できない。まさに「不可能なのに不可避。

だから、区別をなしつつ、区別を信じずに、前にすすめ!それが脱構築の概念です。

私が宮台真司のことを知ったのが21世紀になってからである。

BOOKOFFで読んだ本の中で出てきた名前の人の本を見つけたら、3冊は買うというルールでやっていたら引っかかったのである。

忘れもしない「自由な新世紀 不自由なあなた」という本の後半(自己決定などについて書かれていた)が、人生の中で記憶に残る本ランキング上位になった。

宮台の言うことが滅茶苦茶面白かったので、社会学入門みたいな本を何冊か読んでみたのだが、面白くない。

私が宮台真司に求めているのは、社会学に関することではない。どうも哲学っぽいのだが、哲学のほうに永井均以外に私の受け皿がないのである。

なんだか間違っていると思いつつ、いま私がいるのが「区別を信じず、前にすすめ!」(決断主義?)なので、この思想の行き着く先がどうなるのか知りたい。

その情報を手に入れるために、宮台の追っかけを続けるつもりである。

日本の難点 宮台真司 幻冬社新書 2009